【2025年最新】アルファロメオジュリア(105系)の価格推移と高騰の理由|今が売り時?今後の相場をプロが予測

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「羊の皮を被った狼」。この使い古された常套句が、自動車史上もっとも似合う車こそ、アルファロメオ「ジュリア(Giulia)」をおいて他にありません。 1960年代、イタリアの伊達男たちを熱狂させたこのベルリーナ(セダン)とクーペは、ただの旧車ではありません。それは、「ファミリーカーでありながら、サーキットではスポーツカーをカモにする」という、アルファロメオの黄金時代を象徴する記念碑的遺産です。

名機「アルファ・ツインカム」の官能的な吸気音、ダブルウィッシュボーンがもたらす軽快な回頭性。ステアリングを握れば、半世紀前の車とは信じがたいほどのダイレクトな対話がそこにあります。 しかし、近年のクラシックカー・バブルの中で、ジュリアの相場もまた、かつてない領域へと突入しています。「段付き(初期型)はもはや高嶺の花か?」「レストアベースでも値段が付くのか?」

結論から申し上げます。ジュリア(特に105系)の相場は、世界的な『実用クラシック需要』の高まりにより、直近5年で約1.5倍〜2倍に上昇していますが、ボディの「腐り(錆)」の有無で数百万円の価格差が生じています。

本記事では、2025年現在の市場データに基づき、ジュリア(105/115系)の資産価値を冷徹に分析します。愛らしいその姿の裏に秘められた、堅実な資産価値の真実を紐解いていきましょう。

英国車やドイツ車 が「機械としての完璧さ」を資産価値とするなら、ジュリアは「情熱(パッション)」が価格を支える稀有な存在です。

この記事のポイント
・ジュリア(105系)は、欧州・日本ともに人気が絶大で、相場は堅調な右肩上がり。
・初期の「段付き」クーペや「ジュリアスーパー」は特に高騰し、500万円〜800万円レンジへ。
・機関系は丈夫だが、ボディの錆が査定の致命傷になるため、専門店での判断が必須。

アルファロメオ ジュリア(105系)とは?歴史とスペックの魅力

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引用元:classic-trader.com

なぜ、空気抵抗を無視したような四角いセダンや、愛嬌のあるクーペが、今なお世界中で愛され、高値で取引されるのか。その理由は、当時のアルファロメオが持っていた「技術的なオーバークオリティ」にあります。

開発背景:量産車の常識を覆した設計

1962年に登場したジュリア(Tyepe 105)は、戦後の復興を遂げたイタリアの象徴でした。 当時の大衆車といえばOHVエンジンに3速/4速ギアが当たり前。しかしアルファロメオは、この量産車に「総アルミ製DOHCエンジン」「5速トランスミッション」「4輪ディスクブレーキ」という、当時のレーシングカー並みのスペックを与えました。

「空力を考慮してデザインされた」という意外な事実を持つボクシーなボディ(セダン)と、ベルトーネによる美しいクーペ(スプリントGT系)。「見かけは優雅、中身は野獣」。このギャップこそが、半世紀経っても色褪せないジュリアの魔力です。

スペック詳細:伝説の「アルファ・ツインカム」

心臓部に収まるのは、名エンジニア、ジュゼッペ・ブッソが手掛けた直列4気筒DOHCエンジン。

エンジン形式: 水冷直列4気筒DOHC
排気量: 1,290cc / 1,570cc / 1,779cc / 1,962cc
最高出力: 98ps 〜 130ps(モデルによる)
トランスミッション: 5速マニュアル

ウェーバーやソレックスのキャブレターが吸い込む「コォォォ」という吸気音と、アルファサウンドと呼ばれる乾いた排気音。7,000回転まで淀みなく吹け上がるフィーリングは、現代の高性能車が失った「内燃機関と対話する喜び」そのものです。

ジュリア(105系)の価格推移グラフと最新相場

では、市場価値の変動を見てみましょう。以下は、クーペ(GT系)およびベルリーナ(セダン系)を統合した、国内および欧州市場における平均取引価格の推移です。 ※GTAなどの特殊モデル(数千万円〜)は除外し、一般的な1300/1600/1750/2000モデルを対象としています。

直近5年の価格推移(データ分析)

平均相場(万円)最安値〜最高値(万円)
2020年350200 〜 600
2021年420250 〜 700
2022年480300 〜 850
2023年540350 〜 950
2024年590400 〜 1,100
2025年(現在)630450 〜 1,250+

かつては「手頃な入門クラシック」と言われたジュリアですが、完全にそのステージを卒業しました。特に「段付き」と呼ばれる初期のクーペや、初期型セダン(ジュリアスーパー)の良質な個体は1,000万円の大台に迫る勢いです。

なぜここまで高騰したのか?

最大の要因は、「実用できるクラシックカー」としての再評価です。 フェラーリやランボルギーニは日常使いできませんが、ジュリアは大人4人が乗れ、トランクもあり、現代の交通事情リードできる動力性能を持っています。ヒストリックカーラリーへの参加資格を持つ車両としても需要が高く、世界中で「取り合い」が起きています。

また、部品供給が驚くほど潤沢(リプロパーツが豊富)であることも、投資対象としての安心感につながり、初心者からベテランまで幅広い層が購入に動いています。

2030年までの未来予測|バブルは崩壊するか?

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「部品もあるし、台数も多い。そろそろ相場は頭打ちでは?」 そう考えるのは早計かもしれません。専門家の見解は「緩やかな上昇、しかし選別は厳格化」です。

専門家の見解とシナリオ

Hagerty等の市場分析でも、アルファロメオ105系は「ブルーチップ(優良株)」と見なされています。暴落のリスクは極めて低いでしょう。

しかし、2030年に向けて懸念されるのは「ボディの状態」です。1960年代のイタリア車の宿命である「錆(サビ)」との戦いです。 今後、未再生の「オリジナル塗装」や、完璧に板金処理された個体の価値はさらに跳ね上がる一方、見かけ倒しの「パテ埋め車両」は厳しく淘汰される時代が来ます。

状態ランク別の買取相場(松竹梅)

ジュリアの査定額は、エンジンよりも「ボディコンディション」と「オリジナル度」で決まります。

  • 【松】段付き・初期スーパー・GTA仕様(800万〜1,200万円超) 1960年代の「段付き」クーペ(スプリントGT/GTV)や、初期のジュリアスーパー。腐りのないボディ、オリジナル内装、マッチングナンバー。これらは世界的に渇望されています。
  • 【竹】1750/2000 GTV・後期ベルリーナ(500万〜750万円) フラットノーズのクーペや、後期のセダン。走行は楽しめるが、多少のカスタムやリペイントがある個体。最も流通が多く、ヒストリックカー入門として人気が高いため、リセールも安定しています。
  • 【梅】レストアベース・腐食あり(250万〜400万円) サイドシルやフロアに錆がある、エンジン不動など。それでも部品が出るため「ベース車」としての需要があり、以前のように「廃車価格」になることはまずありません。

特に「段付き」かどうか、そして「ダッシュボードの割れ」や「シートの破れ」がオリジナルのまま味となっているか、それともただの劣化か。その見極めが重要です。

イタリア車の「味」と「劣化」の境界線は、専門店でないと正しく評価できません。

アルファロメオ ジュリアを一番高く売るための戦略

ジュリアを手放す際、決して行ってはいけない場所があります。

ディーラー下取りは「数十万円」損をする

最新のステルヴィオやトナーレを扱う正規ディーラーに行っても、105系ジュリアの価値は理解されません。「エアコンなし」「重ステ」「排ガス規制前の車」として、事務的に処理されるだけです。 下取り額が「0円」あるいは「数十万円」と言われても、それは彼らが悪いのではなく、評価基準を持っていないだけなのです。

「ジュリア」の価値がわかる専門店へ

ジュリアを高く売るには、以下の条件が必要です。

「アルファ・ツインカム」の調子を音だけで判断できるメカニックがいる

錆の発生しやすいポイント(ロッカーパネル等)を的確にチェックできる

国内の愛好家だけでなく、欧州への再輸出ルートを持っている

「外車バトン」のような、輸入車・趣味車に特化した買取サービスをお勧めします。彼らはジュリアが単なる古い車ではなく、世界的な文化遺産であることを理解しています。特に、キャブレター調整がバッチリ決まっている個体などは、驚くほどのプラス査定が期待できます。

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アルファロメオ ジュリアの価格推移まとめ

アルファロメオ ジュリアは、所有すること自体がステータスであり、ドライビングの教養でもあります。 相場は高騰していますが、それはこの車が持つ本来の価値に、ようやく時代が追いついただけなのかもしれません。

もし、ガレージで眠っているジュリアがあるのなら、まずはその価値を確かめてみてください。あなたが思う以上に、そのイタリアン・ベルリーナは、熱い視線を浴びているはずです。

※価格情報に関する免責事項
本記事の相場データおよび将来予測は、執筆時点での市場調査に基づく編集部の独自見解です。実際の買取価格や将来の価値を保証するものではありません。売買の判断は自己責任で行ってください。