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「金庫」と形容される重厚なドアを閉めた瞬間、世界が変わる。 ステアリングを握れば、路面の情報は正確に伝わるのに、不快な振動は一切遮断されている。 初代Eクラス、コードネーム「W124」。それは、メルセデス・ベンツが「コストダウン」という言葉を知らなかった時代に作り上げた、自動車工学の到達点です。
しかし、製造から30年以上が経過し、オーナーの皆様は二つの相反する現実に直面しているはずです。 「これ以上に信頼できる車は現代に存在しない」という確信。そして、「500E/E500を中心に、相場が異常なほど高騰している」という事実です。
結論から申し上げます。W124、特に500Eの相場は現在、世界的なクラシックカー投資の対象となり、過去最高値を更新し続けています。「実用車」として乗り潰すには、あまりにもその資産価値が大きくなりすぎてしまいました。
本記事では、最新の市場データに基づき、W124の価格推移と「投資対象としての未来」を冷徹に分析します。あなたの愛車を、単なる移動手段として終わらせるか、それとも一つの「資産」として正当に評価させるか。その判断材料を提供します。
・500E/E500は1,000万円〜1,500万円超えの「投資相場」へ突入
・ワゴン(S124)や6気筒モデルも、ヤングタイマーとして底値から急騰
・一般的な買取店では「ただの古いセダン」。専門店での評価が必須
メルセデス・ベンツ Eクラス (W124) とは?歴史とスペックの魅力
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引用元:hagerty.com
価格の話に入る前に、なぜW124がこれほどまでに神格化されているのか。特に伝説となっている「500E」の背景を中心に振り返りましょう。
開発背景:「最善か無か」の最後の具現者
1985年に登場したW124は、メルセデスが「世界最高の実用車」を目指して開発しました。 徹底的な空力設計、マルチリンク式リアサスペンションの採用など、当時の最新技術を惜しみなく投入。 中でも1991年に登場した「500E」は別格です。V8エンジンを搭載するためにボディを拡大する必要がありましたが、生産ラインに入らないため、開発と生産の一部を経営難だった「ポルシェ」に委託。ポルシェの工場(ロースレ・バウ)で職人が手組みし、ベンツとポルシェの工場を往復して作られたこのモデルは、まさに「羊の皮を被った狼」です。
スペック詳細:ポルシェが手掛けたV8の魔力
500Eの心臓部は、5.0リッターV型8気筒エンジン(M119型)。 スペック上の数字以上に、そのフィーリングは強烈です。
エンジン形式: 水冷V型8気筒 DOHC
排気量: 4,973cc
最高出力: 330ps / 5,700rpm
最大トルク: 50.0kgm / 3,900rpm
低速では高級リムジンのように振る舞いながら、アクセルを踏み込めばポルシェ譲りの足回りが路面を掴み、怒涛の加速を見せる。この「二面性」こそが、世界中のエンスージアストを30年間魅了し続けている理由です。
メルセデス・ベンツW124の価格推移グラフと最新相場
伝説は市場価値にどう反映されているのか。以下は、W124(特に500E/E500および状態の良い6気筒モデル)の平均取引価格の推移です。
直近5年の価格推移(データ分析)
| 年 | 500E/E500 平均相場 | 通常モデル 平均相場 |
|---|---|---|
| 2020年 | 650万円 | 150 〜 250万円 |
| 2021年 | 800万円 | 200 〜 300万円 |
| 2022年 | 1,000万円 | 250 〜 400万円 |
| 2023年 | 1,200万円 | 300 〜 450万円 |
| 2024年 | 1,350万円 | 350 〜 550万円 |
| 2025年(現在) | 1,480万円 | 400 〜 650万円+ |
※通常モデル=320E/E320、280E、ワゴン等の良質車
ご覧の通り、特に500Eの上昇率は異常です。数年前までは「頑張れば買える」価格帯でしたが、現在は完全に「富裕層のコレクションアイテム」へと変貌しました。
なぜここまで高騰したのか?
最大の要因は「アメリカの25年ルール」解禁による海外流出です。 ポルシェが関与した500Eは、北米市場でカルト的な人気を誇ります。日本国内で大切に乗られてきた「程度の良い個体」が、円安を背景に次々と海外バイヤーに買い付けられています。 また、通常モデル(特にワゴン)であっても、「現代の車にはない乗り味」を求める層からの指名買いが絶えず、日本国内のタマ数が枯渇し始めていることが価格高騰を招いています。
2030年までの未来予測|バブルは崩壊するか?
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「さすがに上がりすぎではないか?」 しかし、専門家の見解は「500Eはアート市場へ、通常モデルは維持費との戦いへ」という二極化のシナリオを描いています。
専門家の見解とシナリオ
500Eに関しては、生産台数が限られている(約1万台)ため、今後も価格が下がる要素が見当たりません。ポルシェ911(964)と同様、美術品のような扱いになりつつあります。 一方で懸念点は部品供給です。メルセデスは部品供給が良いとはいえ、純正パーツの価格は毎年高騰しています。 ハーネスの引き直しやATのオーバーホールなど、100万円単位の整備が必要になった時、「直して乗るか」「高値のうちに手放すか」の判断が、最終的な投資リターンを大きく左右することになります。
状態ランク別の買取相場(松竹梅)
あなたのW124は、市場でどのランクに位置するでしょうか?
- 【松】ミントコンディション(1,500万円〜) 500E/E500。走行5万km以下、フルオリジナル、記録簿完備。特に「ポルシェライン(初期型)」や「リミテッド」は青天井の相場です。
- 【竹】コレクターズコンディション(400〜800万円) E320カブリオレ、または状態の良いワゴン(S124)。走行距離よりも「整備履歴」が重視されます。内装のウッド割れがなく、エアコンが効くことが最低条件です。
- 【梅】レストアベース(150〜300万円) セダンの230Eや260Eで、過走行や塗装劣化があるもの。それでも「W124であること」自体に価値があるため、廃車価格にはなりません。
重要なのは、「オリジナル度」です。 W124の世界では、過度な改造は価値を下げます。当時のままのホイール、オレンジ色のウインカーレンズ、ファブリックシート。そういった「当時の空気感」を残している個体こそが、今最も高く評価されます。
あなたの車が「実用車」なのか「コレクターズアイテム」なのか、その境界線を見極めるのは専門店だけです。
メルセデス・ベンツW124を一番高く売るための戦略
30年前の車を売る際、最もやってはいけないミスがあります。
ディーラー下取りは「価値ゼロ」の可能性も
最新のEクラスへの乗り換えであっても、ディーラー下取りは避けてください。彼らの査定基準において、W124は単なる「低年式の重課税車」です。500Eの歴史的背景も、ポルシェとの関係も、マニュアルにないため評価されません。「値段がつかないので無料で引き取ります」と言われるのがオチです。
「W124」の哲学を理解する専門店へ
W124を高く売るなら、この時代のメルセデスに特化した専門店、あるいは海外への販路を持つ「輸入車買取のプロ」に依頼すべきです。 彼らは「エンジンの吹け上がり」や「ドアの開閉音」だけで、その車の管理状態を見抜きます。そして、円安メリットを最大限に活かした「世界相場」での査定額を提示してくれます。
「まだ手放す決心がつかない」。 それはW124オーナー共通の悩みです。しかし、今の資産価値を知っておくことは、将来の維持計画(あるいは出口戦略)を立てる上で非常に重要です。
▼ W124・500Eの価値を正しく評価できる「外車バトン」
輸入車専門店が直接入札するシステムのため、500Eのような希少車はもちろん、大切に乗られてきたワゴンやクーペも、そのコンディションを正当に評価します。「最善か無か」の魂を理解できる次のオーナーへ。橋渡しはプロにお任せください。
※査定は無料・売却義務はありません
本記事の相場データおよび将来予測は、執筆時点での市場調査に基づく編集部の独自見解です。実際の買取価格や将来の価値を保証するものではありません。売買の判断は自己責任で行ってください。