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全幅1976mm。ドアからリアフェンダーにかけて刻まれた、あまりにも有名なスリット(サイドストレーキ)。そして背中で低く唸る、4.9リッター12気筒エンジンの重厚なビート。フェラーリ・テスタロッサは、単なるスーパーカーではありません。それは1980年代という「最も煌びやかな時代」そのものを形にした記念碑です。
しかし、その巨大な芸術品を維持することは、オーナーにとって決して容易なことではありません。 「次の車検でエンジンを降ろす必要がある」「日本の道路事情には大きすぎる」。愛ゆえの苦悩を抱えながら、昨今のクラシックカーブームを見て、こう考えている方も多いのではないでしょうか。
「この象徴的な車を手放すのは惜しい。しかし、相場が高騰している今こそが、最も美しい別れ際なのではないか?」
結論から申し上げます。テスタロッサの相場は、世界的な「80年代回帰」ブームにより、かつてない高値圏で安定しています。特に初期モデルには驚くべきプレミアが付いています。
本記事では、最新の市場データに基づき、テスタロッサの価格推移と「整備コストと資産価値のバランス」を冷徹に分析します。あなたの愛車が、今後もガレージの主役であり続けるべきか、それとも新たな伝説となるべきか、その答えを探ります。
・テスタロッサの価格は安定上昇中。2,000万円〜3,000万円が相場の中心
・初期型「フライングミラー(片側ミラー)」や「センターロック」は別格の扱い
・ディーラー下取りは厳禁。「整備の難易度」を理由に安く買い叩かれるリスク大
フェラーリ・テスタロッサとは?歴史とスペックの魅力
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引用元:公式サイト
価格の話に入る前に、なぜテスタロッサが30年以上経った今も「キング・オブ・スーパーカー」として君臨し続けるのか。その理由は、強烈なビジュアルと、それを裏切らないメカニズムにあります。
開発背景:機能が生んだ「サイドストレーキ」
1984年、パリサロンでデビューしたテスタロッサは、世界に衝撃を与えました。ピニンファリーナによるデザインは、前作BB(ベルリネッタ・ボクサー)の課題であった「車内の熱問題」を解決するために生まれました。
ラジエーターをフロントからサイドに移設したことで、あの巨大なサイドインテークが必要となり、それを法規的にカバーするために生まれたのが、象徴的なフィン(スリット)です。「機能美」という言葉では片付けられないその造形は、バブル経済やドラマ『マイアミ・バイス』のイメージと重なり、世界中の成功者の証となりました。
スペック詳細:180°V12の絹のような滑らかさ
ミッドシップに搭載されるのは、真紅のヘッドカバーを持つ4.9リッター水平対向12気筒エンジン(正確には180°V12)。 最高出力は390ps。荒々しいV8とは異なり、どこまでも滑らかに、しかし力強くトルクが湧き上がる感覚は、12気筒ならではの特権です。
エンジン形式: 180°V型12気筒 DOHC 4バルブ
排気量: 4,942cc
最高出力: 390ps / 6,300rpm
最大トルク: 50.0kgm / 4,500rpm
幅広なボディと重いステアリング(ノンパワステ)と格闘しながら、背中の12気筒を指揮する。それは、現代の安楽なスーパーカーでは絶対に味わえない「機械を御する喜び」に満ちています。
フェラーリ・テスタロッサの価格推移グラフと最新相場
憧れだけでは維持できないのがこのクラスの車です。現実的な「数字」を見てみましょう。以下は、国内および海外オークションデータを基にした、テスタロッサの平均取引価格の推移です。
直近5年の価格推移(データ分析)
| 年 | 平均相場(万円) | 最安値〜最高値(万円) |
|---|---|---|
| 2020年 | 1,300 | 900 〜 1,800 |
| 2021年 | 1,500 | 1,000 〜 2,100 |
| 2022年 | 1,800 | 1,200 〜 2,500 |
| 2023年 | 2,100 | 1,400 〜 3,000 |
| 2024年 | 2,350 | 1,600 〜 3,500 |
| 2025年(現在) | 2,500 | 1,800 〜 4,000+ |
かつては1,000万円前後で購入できた時期もありましたが、現在は完全に「コレクターズアイテム」の領域に入りました。特に初期型や低走行車は4,000万円を超えるケースも出てきています。
なぜここまで高騰したのか?
最大の要因は、「ネオクラシック・ブーム」と「12気筒の神格化」です。 世界的に80年代〜90年代のカルチャーが再評価される中で、そのアイコンであるテスタロッサの需要が爆発しました。 また、フェラーリのV12モデル(特にミッドシップ)は非常に数が少なく、歴史的な希少性が再認識されています。「ランボルギーニ・カウンタック」と並び、スーパーカー世代にとっての永遠のアイドルであることが、価格を下支えする最強の要因です。
2030年までの未来予測|バブルは崩壊するか?
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「維持費がかさむ前に手放すべきか?」 テスタロッサの維持費は、フェラーリの中でもトップクラスです。タイミングベルト交換にはエンジン脱着が必須で、これだけで100万円コースです。
専門家の見解とシナリオ
専門家の見解は、「相場は高値安定だが、維持状態による格差が広がる」です。 テスタロッサは生産台数が約7,000台と、フェラーリにしては比較的多いモデルです。そのため、「ただ持っているだけ」の個体と、「完璧に整備された」個体の価格差が激しくなります。
特に海外市場では、「オリジナル性」が何より重視されます。後付けのパーツや、不適切な改造はマイナス評価となります。今後、EVシフトが進めば進むほど、この巨大な12気筒エンジンを背負って走るという「非日常」の価値は、文化財レベルまで高まるでしょう。
状態ランク別の買取相場(松竹梅)
あなたのテスタロッサは、市場でどのランクに位置するでしょうか?
- 【松】初期型・ミントコンディション(3,500万円〜) 1984-1986年式の「フライングミラー(運転席側のみの高位置ミラー)」、センターロックホイール。これは別格の扱いで、オークション級の価値があります。
- 【竹】中期・後期型・良好(2,200〜2,800万円) 5穴ホイールに変更された中期〜後期モデル(512TR以前)。整備記録があり、エアコンも稼働する状態なら、安定して高値がつきます。
- 【梅】要整備・レストアベース(1,600〜2,000万円) ダッシュボードの革縮み、電装系トラブル、タイベル未交換。それでも腐っても12気筒、2,000万円近くで取引される底力があります。
注意すべきは、「内装の状態」です。テスタロッサの内装(特にダッシュボードやシート)は経年劣化しやすく、リペアには多額の費用がかかります。ここが綺麗であれば、査定員への印象は劇的に良くなります。
あなたの車が「初期型」に近い仕様であればあるほど、想像以上の高値がつく可能性があります。
フェラーリ・テスタロッサを一番高く売るための戦略
テスタロッサの売却で最も避けるべきこと。それは「この車の整備の大変さ」を理由に、安く買い叩こうとする業者に売ってしまうことです。
ディーラー下取りは「数百万円」損をする
一般的な買取店やディーラーにとって、テスタロッサは「リスクの塊」です。 「場所をとる」「壊れたら直せない」「部品がない」。こうしたネガティブ要素を並べ立てられ、相場より大幅に安い金額を提示されるのがオチです。
「テスタロッサ」の価値がわかる専門店へ
この車を高く評価できるのは、「この車を探している顧客」を世界中に持っている専門店だけです。 特に、円安の影響で日本のテスタロッサは海外から熱い視線を浴びています。「輸入車専門の買取サービス」なら、国内相場にとらわれない、グローバルな視点での査定が可能です。
「愛車が海外に渡るのは寂しい」 そう思うかもしれません。しかし、本当に価値のわかるオーナーの元へ嫁がせることが、この名車を次世代に残すための最良の選択かもしれません。
▼ 80年代の象徴、12気筒モデルに乗っているなら「外車バトン」
輸入車専門店やスーパーカー専門店が直接入札するシステムのため、テスタロッサのような「特別な知識が必要な車」こそ、その価値を正当に評価してもらえます。 「維持費の呪縛から解放され、資産として確定させたい」という方は、こちらが最適です。
※査定は無料・売却義務はありません
※価格情報に関する免責事項
本記事の相場データおよび将来予測は、執筆時点での市場調査に基づく編集部の独自見解です。実際の買取価格や将来の価値を保証するものではありません。売買の判断は自己責任で行ってください。