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タコメーターの針が6,000回転を超えた瞬間、世界が変わる。 「カーン!」という突き抜けるような金属音と共に、9,000回転という神の領域まで一気に吹け上がるF20Cエンジン。 ホンダS2000(AP1)。それは、ホンダが内燃機関に捧げたラストサムライであり、二度と作られることのない「公道を走るレーシングエンジン」です。
しかし、その至高のエンジンを持つオーナー様だからこそ、愛車を見るたびに胸をよぎる不安があるはずです。 「幌(ソフトトップ)の劣化、純正部品の廃盤(ディスコン)。このまま維持し続けて、この車のコンディションを保てるだろうか?」
結論から申し上げます。S2000(AP1)の相場は現在、北米の「25年ルール」解禁によりピークを迎えていますが、過走行と経年劣化による「資産価値の目減り」との戦いが始まっています。
本記事では、2025年の市場データに基づき、AP1型の価格推移と今後の価値を冷静に分析します。あなたの愛車が持つ「本当の価値」を知り、最高値でバトンを渡すための判断材料としてください。
・「9000回転」のAP1は海外人気が凄まじく、5年前の2倍近い相場も
・部品供給(特に内装・幌)の厳しさが、維持のハードルを上げている
・走行距離にシビアな車種のため、10万kmを超える前に決断が必要
ホンダS2000(AP1)とは?歴史とスペックの魅力
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引用元:gazoo.com
価格の話の前に、なぜAP1型が後期型のAP2型(2.2L)以上に一部のマニアから熱狂的に支持されるのか、その「狂気」とも言えるスペックを振り返りましょう。
開発背景:ホンダ創立50周年の「本気」
1999年、ホンダの創立50周年記念車としてS2000は誕生しました。 FF(前輪駆動)のホンダが作った、29年ぶりのFR(後輪駆動)スポーツ。専用設計の「ハイXボーンフレーム」を採用し、オープンカーでありながらクローズドボディ並みの剛性を実現しました。
しかし、S2000の本質はそこではありません。「環境性能?燃費?知ったことか」と言わんばかりに、ホンダのエンジニアがやりたい放題やった最後の車。それがS2000なのです。
スペック詳細:リッター125馬力の衝撃
心臓部の「F20C」エンジンこそが、AP1の価値のすべてと言っても過言ではありません。 リッターあたり125馬力という数値は、フェラーリなどのスーパーカーをも凌駕し、NA(自然吸気)エンジンとしては長らく世界記録でした。
エンジン形式: 水冷直列4気筒DOHC VTEC
排気量: 1,997cc
最高出力: 250ps / 8,300rpm
許容回転数: 9,000rpm
トランスミッション: 6速MT
後期型のAP2ではトルク重視で許容回転数が8,000rpmに下げられましたが、AP1の「9,000rpmまで突き抜ける」ヒステリックな特性こそが、今なお世界中のドライバーを虜にしています。
S2000(AP1)の価格推移グラフと最新相場
では、その「興奮」には今、いくらの値札がついているのでしょうか。以下は、国内オークションおよび買取市場における、S2000(AP1初期〜中期)の平均取引価格の推移です。
直近5年の価格推移(データ分析)
| 年 | 平均相場(万円) | 最安値〜最高値(万円) |
|---|---|---|
| 2020年 | 180 | 80 〜 280 |
| 2021年 | 250 | 120 〜 380 |
| 2022年 | 320 | 150 〜 450 |
| 2023年 | 380 | 200 〜 600 |
| 2024年 | 420 | 220 〜 750 |
| 2025年(現在) | 450 | 250 〜 900+ |
5年前には「手頃なFRスポーツ」だったS2000は、今や完全に「高級車」の仲間入りを果たしました。特に低走行の個体や、限定車(ジオーレやタイプVなど)は驚くべき価格で推移しています。
なぜここまで高騰したのか?
最大の理由は、アメリカにおける「25年ルール」の適用開始です。 1999年発売のAP1は、2024年から順次、アメリカへ自由に輸出できるようになりました。 VTECサウンドを愛する北米のJDMファンにとって、S2000はカルト的な人気を誇ります。「日本には極上のAP1が眠っている」と、ドルを持ったバイヤーが買い漁っているため、国内相場が引っ張られているのです。
2030年までの未来予測|維持という名の「消耗戦」
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「これからもっと上がるのでは?」という期待もありますが、S2000に関しては楽観視できない「維持のリスク」があります。
「距離」と「劣化」が価値を奪う
S2000、特にAP1のエンジンは高回転型であるがゆえに、マイレージ(走行距離)に対する市場の目が非常にシビアです。 10万kmを超えると、どんなに調子が良くても「オーバーホール時期」と見なされ、査定額にブレーキがかかります。
また、「幌(ソフトトップ)」の劣化は避けられません。純正幌の交換だけでも数十万円の出費となり、雨漏りすれば電装系トラブル(EPS故障など)にも繋がります。 「部品が出ない」「直すのに大金がかかる」。この維持の苦しみが限界に達する前に、元気な状態で次のオーナーへ引き継ぐのも、一つの愛情表現です。
状態ランク別の買取相場(松竹梅)
市場はS2000をどう格付けしているのか。現在のリアルな相場観は以下の通りです。
- 【松】コレクターズ・ジェム(500万円〜) 走行3万km未満、フルノーマル、修復歴なし、ガレージ保管。幌の状態も完璧。これは「投機商品」として扱われます。
- 【竹】ドライバーズ・スペック(300〜450万円) 走行5万〜8万km、適切なメンテナンス済み。無限(MUGEN)やSPOON等の「定番カスタム」であれば、プラス査定になることも多いゾーンです。
- 【梅】チャレンジング・ベース(180〜280万円) 走行13万km超、修復歴あり、幌破れあり、内装ベタつきあり。それでも、F20Cエンジンが生きていれば値段がつくのがS2000の強みです。
特に注意したいのは、「少しの事故歴」です。S2000はピーキーな挙動ゆえに事故率が高く、フレーム修正が入っている個体も少なくありません。しかし、海外輸出においては「走ればOK」とされるケースもあり、国内基準より甘く評価されることもあります。
ホンダS2000(AP1)を一番高く売るための戦略
高回転エンジンの精密機械であるS2000を売る際、最もやってはいけないことがあります。
ディーラー下取りは「ただの古い車」扱い
ディーラーの下取り査定では、年式による減価償却が基本ルールです。「AP1初期型の9,000回転の価値」や「無限マフラーの希少性」などは考慮されません。 「幌が痛んでいるのでマイナス」「年式が古いのでマイナス」。そう言われて、相場より100万円以上安く手放してしまうオーナーが後を絶ちません。
「VTEC」の価値に金を払う専門店へ
S2000を高く評価できるのは、そのエンジンの価値を知り、世界中の「欲しい人」と繋がっている専門店だけです。 特に現在は、円安を追い風にした輸出業者が、国内相場を無視した高値を入れるケースが増えています。
▼ S2000・国産スポーツカーを高く売るなら「CTN車一括査定」
一般的な一括査定サイトとは異なり、CTNは「スポーツカー専門店」や「海外輸出業者」が中心に参加しています。 「9,000回転まで回るエンジン」に価値を感じ、幌の破れ程度なら自社で直して輸出できる業者とマッチングできるため、高額査定が期待できます。
※電話ラッシュなし・査定は無料です
「まだ相場を知りたいだけ」。それでも大丈夫です。 ただ、走行距離計の数字が増えるたびに、そして幌の縫い目が広がるたびに、資産価値は刻一刻と変化します。今の価値を知っておくことは、賢いオーナーの嗜みです。
本記事の相場データおよび将来予測は、執筆時点での市場調査に基づく編集部の独自見解です。実際の買取価格や将来の価値を保証するものではありません。売買の判断は自己責任で行ってください。