【2025年最新】ホンダ インテグラ(DC2)の価格推移と高騰の理由|今が売り時?今後の相場をプロが予測

「FF車でスポーツカーは作れない」 かつての世界の常識を、たった一台で覆したクルマが存在します。 インテグラ タイプR(DC2)。 アクセルを踏み込めば、8,400回転まで突き抜けるB18Cエンジンの咆哮がドライバーの理性を焼き切り、ステアリングを切れば、まるで路面に吸い付くような魔法のコーナリングが物理法則をあざ笑う。

それはホンダが商業的成功を度外視し、純粋に「速さ」だけを追い求めた狂気の時代の遺産です。 しかし、オーナーの皆様は今、愛車をガレージで眺めながら、複雑な心境にあるのではないでしょうか。 「このまま所有し続けて、本当に価値は維持されるのか? それとも、盗難や部品枯渇のリスクを背負う前に、利益を確定させるべきか?」

結論から申し上げます。DC2の市場価値は、北米市場での熱狂的な需要を背景に、もはや「中古車」の枠を超え「投機対象」の領域に突入しています。

本記事では、最新のオークション相場と、96スペック・98スペックによる価格差、そして「2030年の資産価値予測」を詳細に解説します。あなたの愛車が秘める、真のポテンシャルを解き放つための羅針盤としてご活用ください。

この記事のポイント
・DC2は北米での「Acura Integra Type R」人気が沸騰し、国内相場を牽引
・「98スペック」や「最終00スペック」の極上車は、新車価格の数倍で取引される
・盗難リスクが極めて高い車種のため、資産価値の確認と売却の決断は早めが得策

インテグラ タイプR(DC2)とは?歴史とスペックの魅力

引用元:Honda公式サイト

なぜ、登場から30年近くが経過した今もなお、DC2は世界中の走り屋を熱狂させるのか。 その理由は、カタログスペックの数字以上に、ホンダのエンジニアたちが注ぎ込んだ「執念」にあります。

開発背景:市販車ラインで行われた「手作業」の伝説

1995年、初代インテグラ タイプRはデビューしました。 NSX-Rの思想を大衆車クラスに持ち込む。そのコンセプトを実現するため、ホンダは信じられない工程を採用しました。 初期モデル(96スペック)のエンジンのポート研磨は、なんと職人の手作業で行われていたのです。 量産車の生産ラインで、1台1台エンジン内部を磨き上げる。コストを考えれば狂気としか言いようがありませんが、その結果、抵抗を極限まで減らしたエンジンは、まるでレーシングカーのように鋭いレスポンスを手に入れました。

「利益よりも、世界一のエンジンを作りたい」。そんなエンジニアの純粋すぎる情熱が、DC2という奇跡を生み出したのです。

スペック詳細:VTECの真髄「B18C」

搭載される1.8リッター直列4気筒DOHC VTECエンジン(B18C Spec.R)は、ホンダのエンジン史における最高傑作の一つと称されます。

エンジン形式: 水冷直列4気筒DOHC VTEC (B18C)

排気量: 1,797cc
最高出力: 200ps / 8,000rpm
最大トルク: 18.5kgm / 7,500rpm
レブリミット: 8,400rpm

ピストン速度は当時のF1エンジンに匹敵するスピードで上下し、リッターあたり111馬力を絞り出します。 そして何より評価されているのが、「世界一ハンドリングが良いFF車(The best handling front-wheel drive car ever)」と海外メディアに評されたシャシー性能です。ハードなサスペンションセッティングと、ヘリカルLSDがもたらすトラクションは、現代のハイパワー車すらコーナーで追い回すポテンシャルを秘めています。

インテグラ(DC2)の価格推移グラフと最新相場

その「伝説」は現在、市場でどのように評価されているのでしょうか。 以下は、国内オートオークションおよび海外輸出相場を統合した、DC2インテグラ タイプRの平均取引価格推移です。

直近5年の価格推移(データ分析)

平均相場(万円) 最安値〜最高値(万円)
2020年 150 80 〜 300
2021年 220 120 〜 450
2022年 310 180 〜 600
2023年 380 220 〜 850
2024年 400 250 〜 980
2025年(現在) 420 280 〜 1,200+

ご覧の通り、まさに「うなぎ登り」です。特に2022年以降の伸びが顕著で、状態の良い個体であれば、新車価格(約230万円〜)を大きく超えるプレミア価格が常態化しています。

なぜここまで高騰したのか?(または落ち着いたのか)

最大の要因は、シビック同様に米国の「25年ルール」ですが、DC2の場合はさらに特殊な事情があります。 米国では「Acura Integra Type R」として販売されていましたが、その数は極めて少なく、カルト的な人気を誇っていました。そこへ日本の「Honda Integra Type R」が解禁されたことで、飢えたUSファンによる争奪戦が勃発したのです。

また、DC2特有の「96スペック」「98スペック」「00スペック」という年次改良によるヒエラルキーも相場を複雑にしています。特に完成形とされる「98スペック以降」の無事故車は、国内のタマ数が絶望的に不足しており、オークションに出れば業者が札束で殴り合うような状況です。

2030年までの未来予測|バブルは崩壊するか?

では、この相場はどこまで続くのでしょうか? 多くの専門家は、DC2に関しては「強気相場の継続」を予測しています。

専門家の見解とシナリオ

米国のクラシックカー保険大手Hagertyのデータでも、Integra Type Rの評価額は右肩上がりです。 これには「残存数の減少」が大きく関係しています。DC2はその性格上、サーキットで酷使されたり、事故で廃車になったりするケースが非常に多い車種です。さらに、悲しいことですが「盗難」による消失も後を絶ちません。

2030年に向けて、まともな個体の数はさらに減ります。 「ガソリンエンジン」「マニュアルトランスミッション」「電子制御なしのアナログな挙動」。これらすべてが失われつつある今、DC2は単なる旧車ではなく、「失われたドライビングプレジャーの化石」として、富裕層のコレクションアイテムへと昇華していくでしょう。

ただし、修復歴のひどい個体や、ボディが錆で腐食している個体は、選別され価格が淘汰される可能性があります。

状態ランク別の買取相場(松竹梅)

DC2の査定は、年式(スペック)と状態の掛け合わせで決まります。

  • 【松】ミュージアムクラス(700〜1,200万円) 走行3万km以下、修復歴なし、フルノーマル、98スペックまたは00スペック。ボディカラーがチャンピオンシップホワイト以外(イエローやブラックなど)の場合、希少性からさらにプラス査定となるケースもあります。
  • 【竹】エンスージアストグレード(350〜600万円) 走行10万km前後、修復歴なし、あるいは軽微な修復。無限マフラーやSPOONキャリパーなど、定番のパーツでライトチューンされている車両もここに含まれます。最も流動性が高く、今が売り時のゾーンです。
  • 【梅】レストアベース / ハードチューン(180〜300万円) 走行20万km超、大きな修復歴あり、オールペン、ドンガラ内装など。一見価値がなさそうに見えますが、B18Cエンジン単体やMTミッションだけでも高値で取引されるため、廃車にするのは現金の束を捨てるようなものです。

特に注意したいのが、「96スペックか98スペックか」という点です。 ホイールのナット数(4穴か5穴か)で見分けられますが、市場価値としては、ブレーキや剛性が強化された98スペックの方が高値安定傾向にあります。しかし、96スペックの軽快さを好むマニアも一定数存在するため、決して悲観する必要はありません。

あなたの車がどのスペックで、どの層に需要があるのか。それを判断できるのは専門店だけです。

インテグラ(DC2)を一番高く売るための戦略

手塩にかけて維持してきたDC2を手放す決意をしたなら、最後の仕上げとして「売却先」を慎重に選ばなければなりません。

ディーラー下取りは「数十万円」損をする

どれほど状態が良くても、一般的なディーラーや大手買取チェーン店では、DC2は「30年前の古いクーペ」として処理されます。 「年式が古いので値段がつきませんが、廃車手数料はサービスします」 そんな言葉を鵜呑みにしてはいけません。彼らはその車をオートオークションに流し、瞬時に数百万円の利益を得るでしょう。ディーラー下取りに出すということは、みすみすその利益を放棄するのと同じです。

「インテグラ(DC2)」の価値がわかる専門店へ

VTECエンジンの価値、純正レカロシートの状態、そしてあなたが注いできた愛情。 それらを正当に評価し、金額に反映できるのは、JDMブームの最前線にいる「スポーツカー専門店」や「輸出業者」だけです。

特に、カスタムパーツが付いている場合はチャンスです。純正部品が欠品している現在、社外の高品質なパーツは「資産」として評価されます。

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DC2のような「尖った車」こそ、一括査定の威力が発揮されます。 複数の専門店が競合することで、「どうしても在庫として欲しい」という業者が相場以上の価格を提示してくるからです。 「社外エキマニが入っている」「足回りをリフレッシュしたばかり」。そんなアピールポイントを、ぜひ専門店のバイヤーにぶつけてみてください。

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ホンダ インテグラの価格推移

インテグラ タイプR(DC2)は、ホンダのレーシングスピリットが最も純粋な形で結晶化した名車です。 その価値は、ガソリン車の終焉が近づくにつれて、神話の領域へと昇っていくでしょう。

売るか、持ち続けるか。どちらを選ぶにせよ、まずは「現在の時価」を知ることからすべては始まります。 あなたのガレージに眠るその車は、あなたが思っている以上に、世界中から熱い視線を浴びているのですから。

※価格情報に関する免責事項
本記事の相場データおよび将来予測は、執筆時点での市場調査に基づく編集部の独自見解です。実際の買取価格や将来の価値を保証するものではありません。売買の判断は自己責任で行ってください。